エコーガイド下筋膜リリース注射

ハイドロリリース(筋膜リリース)について

ハイドロリリースとは、エコー(超音波検査)で画像を確認しながら筋膜に薬液を注射し、筋膜の癒着をはがしていきます。近年のエコーの進歩によって、この筋膜が「こり」や「疼痛」に関わっていることが分かりました。ハイドロリリースによって、筋膜の癒着が剥がれて筋肉の動きを良くし、疼痛を解消できます。
従来までの痛み止めや麻酔薬による疼痛軽減と異なり、ハイドロリリースは癒着を剥がすのが目的のため、治療に使用するのは生理食塩水とごく少量の麻酔薬と鎮痛薬です。従って、副作用の心配がないので、安心して受けていただけます。患者さんの身体への負担が少ない治療方法です。

筋膜について

身体全身に張り巡らされている膜のことを筋膜と言います。繊維誠意結合組織の総称で筋肉の表面だけではなく、1本1本の筋繊維、骨や内臓、血管、神経などあらゆる組織をつなげて身体を支えています。

筋膜の役割は?

筋膜の役割は以下の3つとされています。

1.正しい姿勢の維持

筋膜は全身に張り巡らされている膜で、関節を超えてネットワークを形成しています。私たちの姿勢は、その張力によって保持されています。筋膜が前後左右のバランスよく張力を発揮することで、立ったり歩いたり動作するときの姿勢を保持できます。

2.力の伝達

全身をくまなく覆っている筋膜によって、腱や筋が発揮した力は隣の腱や筋に伝達します。

3.感覚のフィードバック

筋膜の中には、感覚を脳に伝達する神経が豊富に含まれています。それにより、皮膚の上から「痛い」、「痒い」などの感覚が筋膜に伝わります。

筋膜がどうなると痛むのか

悪い姿勢や偏った姿勢で長時間過ごしたり、間違った動作を繰り返すことによって、筋膜に「しこり」や「癒着」が起こり、血流が悪くなります。
血流低下によって起る機能異常は、以下の通りです。

  • 関節可動域の低下・柔軟性の低下
  • 筋力の低下
  • 肩こりや腰痛など「痛み」の発症

筋膜は全身を網目状に覆っていて、身体の動きに合わせて伸びたり縮んだりしています。動作の偏りによって筋膜のバランスが崩れると、一部の筋膜のみが伸びきってしまうということが起こります。伸びきったまま固定されてしまうと、戻らなくなってしまう場合もあります。パソコンの仕事などで一日中画面に向かい、猫背で過ごしている方は特に注意が必要です。
また、伸びきるのとは反対で、筋膜が縮んでしまう場合もあります。この場合は、筋膜の高密度化してしまっており、普段よりも水分量が少なく、滑りが悪くなり、痛みを伴います。

ハイドロリリース(筋膜リリース)の効果

ハイドロリリース(筋膜リリース)の効果ハイドロリリース(筋膜リリース)の期待できる効果は、筋膜のこりやしこりを解消し、苦痛の元である痛みやしびれを解消し、筋肉の動きを良くしていきます。
また、筋膜のこり解消によって、可動域が増え、結果として「身体が柔らかく動かしやすい」と実感できるようになります。

単純なストレッチとの違い

ストレッチの場合は、単一方向への筋膜の縮みに対してのみ有効ですが、ハイドロリリース(筋膜リリース)の場合は、広範囲においてあらゆる方向へ圧をかけることができますので、「しこり」や「癒着」をはがすために必要なすべての方向へ圧をかけられます。単純なストレッチと比較して、高い治療効果が得られます。

治療のポイント

ハイドロリリース(筋膜リリース)の治療方法は、エコーで画像を確認しながら、筋膜に薬液を注射し、筋膜の癒着を剥がしていきます。
また、神経の癒着を剥がすのにも有効で、当院では肩関節や膝関節痛にもハイドロリリース(筋膜リリース)を用いています。
従来の局所への注射は、鎮痛薬や麻酔薬で疼痛の軽減を図っていましたが、ハイドロリースは癒着をはがすことが目的なので、使用するのは生理食塩水とごく少量の麻酔薬と鎮痛薬のため副作用の心配がなく、患者さんの身体への侵襲が少ないので安心して治療していただけます。

治療後気を付けること

ハイドロリリース(筋膜リリース)によって痛みが消失しても、これまでの生活習慣や身体の使い方が改善されなければ、また痛みなどの症状が繰り返し現れます。この繰り返す「再発」を防ぐためにも、治療後は運動療法を中心に、生活環境の改善や動作を注意しながら生活していかなければなりません。
極力正しい姿勢を保つようにして、症状の再発防止を行います。
当院では、国家資格をもつ理学療法士によって、マンツーマンのリハビリテーションを実施しています。運動療法に加えて、生活環境や動作に関するアドバイスも行っています。
当院では、ハイドロリリース(筋膜リリース)の治療とともに、運動療法とリハビリテーションを合わせて行うことをお勧めしています。運動療法は健康保険での治療が可能なので、気軽に受診ください。

TOPへ